奈良美智AtoZへの旅。

2012年09月29日 21:33

 奈良美智さんの絵に初めて出会ったのは10年以上前のこと。当時、よく入ってた喫茶店の壁に、なんとも印象的な女の子の絵があって、すごく気になっていたのです。その絵が彼の作品だったということは最近知ったのですが、内面に語りかけてくるような作風にすっかりハマって、弘前で酒蔵まるごと使って開催されてる「AtoZ展」を観に行くことにしました。



<1日目>
青春18きっぷで一気に愛知→仙台へ。忍耐の道中!?

 朝5時半起床!「青春18きっぷ」で昼間に遠くへ行こうとすると早起きが肝心です。6時54分発の列車に乗るためには6時30分発のバスに乗って駅に向かわなくてはならないのに、バス停へ向かって歩いてる途中で、はるか眺めた先に、乗る予定だったバスが走っていくのが見えました・・・「えっ!?」と、言うわけで、どうせ一日座ってるだけだから運動しておこう!と、気持ちを切り替えて急いで歩いて駅へ!なんとか1分前のギリギリセーフでホームに滑り込む。これで無事に鈍行で仙台まで行ける!(笑)と、いうか実は1〜2本くらいなら乗り過ごしても大丈夫と言う、ゆるゆるプランなんだけどね。仙台でゆったり過ごすのには少しでも早い方がいいのです。
 岡崎〜6:54発→7:22着〜豊橋〜7:24発→8:00着〜浜松〜8:02発→9:17着〜静岡〜9:32発→10:49着〜熱海〜11:00発→11:38着〜平塚〜11:41発→13:13着〜大宮〜13:16発→14:36着〜宇都宮〜14:40発→15:30着〜黒磯〜15:34発→18:53着〜仙台
という、怒濤のぶっつづけ乗り換えプラン!ほとんどが5分以内の乗り継ぎなのです。宇都宮で昼に餃子ってのもいいなぁ〜と思っていたけど、仙台の夜でゆっくり牛タンプランに負けました(笑)。なので小腹が空いた時点でカロリーメイトをかじって先を急ぐと言うお腹的には耐久戦模様な展開。でも、座ってるだけなので結構大丈夫でした。

  退屈な郊外の風景が続く東海道線の車窓も、伊豆半島の近くまで来ると海が眼下に眺められて旅気分になるのだよねー。仕事で小田原で新幹線降りて横浜方面へ向かった時なんかは仕事気分もぶっとんだことあったナー(笑)。今日のポイントは湘南新宿ラインで東京を一気に通過するというルートを利用すること。大宮の直前で乗る予定の東北線(宇都宮線)の列車を追い抜きました。大宮での3分乗り換えを無事に完了できるかどうかで、ずいぶんこの後の接続が変わるわけで、よっしゃ!これで安心だー!と追い抜きを確認した時に心底ホッとしました。

 大宮で階段昇ってホームをまたいで降りてきたところで、東北線の列車が到着。ここから先は僕も乗ったことのない路線、内陸をひたすら北上する。宇都宮へ向かってる途中に雨が降り出しました。朝の東海道はずっと快晴だったのに、関東は全然天気違うわけで遠くへ来た感が倍増。黒磯でもすぐ電車待ってて乗り換え。黒磯→仙台を一気に抜ける電車って極端に少なくて、ほとんどコレに乗るための早起きだったと言えるんだよねー。乗る時や降りる時にお客さんが自らボタン押してドア開けるというシステムが効率的だなーって思いました。車内は18きっぷ組と思われる旅行者が結構多くて、意外と一緒に乗り換えて仙台まで行っちゃう人が多かったー、さすが関東圏です。お尻は痛かったけど、わずか2300円で名古屋から仙台まで行けるなんて夢のような話だよね!?(笑)

 18時53分の定刻通りに仙台到着〜!!おぉー仙台は都会だー!東北線に乗ってる間はずっと田んぼと山しか見てなかったので余計にそう思う。霧がかっているものの、雨は降ってなくて涼しい天気。さっそく駅前のロフトに入りジュンク堂書店で東北のガイドブックを買う。せっかくなので商店街を覗いてみようとクリスロードというところをちょっとだけ歩いた。半分くらいもう店は閉まっていたけど、路上詩人!?みたいな人が閉まった店の前の地べたに店広げてたりしてそれはそれで面白かった。駅前でも路上販売してる詩人系な人がいて結構繁盛してそうだったなぁ。仙台は詩がブームか!?(笑)


  さて、駅からちょっと離れて、メインの通りから外れたところで、牛タン居酒屋を発見!と、いうか、牛タン食べさせてくれる店はいっぱいあるんだけど、あんまりこ綺麗なところ入ると高そうだったので、カウンターと座敷が3つくらいしかなくて、開けっぴろげて扇風機まわしてるような店に入ってみた。地元の客が多いみたいで、結構浮いちゃったなぁ(笑)。今日初めてのまともな食事!もちろんビールも飲んで、いい感じに疲れもほぐれました。駅前のドトールも遅くまで開いてたので、ソファに深々腰掛けて明日からのプラン検討。名古屋駅前よりも全般に夜が遅めでないかい!?仙台は。
 さて、今日の宿もこれまた安くて3600円!最高にオンボロだったけど、大浴場もあって朝食も無料で対応もしっかりしてて悪くない。古びたビジネスホテルって感じの雰囲気だったけど、意外にもYahoo路線のプリントアウトや、ホテルの地図のプリントアウトを持ってやってくる若い子多し!しかも女の子が多い。ネットが普及したおかげでしょうねー。なんか周りの部屋が騒がしかったけど、疲れてたのすぐ熟睡・・・昔は布団が変わるだけでも眠れないタイプでしたが、どこでも寝れるようになっちゃったわけで、やっぱ慣れってのは偉大だねー!(笑) 

 

<2日目>
東北新幹線と高速バスを乗り継いで弘前へ

 曇り空の仙台の朝。ホテルから駅まで歩いている途中に小雨に当たる。昨日は18きっぷを使ってひたすら鈍行に乗り続けたけど、今日はあっさり東北新幹線を使って盛岡へ。ここらあたりが大人の旅の違いか!?(笑)
 今回の旅の目的地「YOSHITOMO NARA+graf AtoZ」が開催されている弘前へ向かうためには鉄道利用よりも盛岡から出てる「ヨーデル号」という高速バスに乗った方が断然早くてオトク。昼までには弘前に着いちゃって、ゆっくり展覧会も含めて街を散策しようというのが二日目の計画です。
 確か東北新幹線が開通したのは僕が小学生の頃。「小学2年生」か何かの雑誌で特集が組まれて、東海地方で見られない緑色の新幹線を見て、なんとも新鮮な気持ちになったのを憶えていますが、もうそんな新幹線は走ってないんだねー(笑)。約1時間ちょっとで盛岡へ。でやっぱり新幹線は速いっ!運賃も高いだけのことはある。でも乗ったのは「やまびこ号」。各駅停車なせいか自由席でも余裕たっぷり結構空いてました。


 途中で雨が降り出し、ここに来てやはり天気予報が当たってしまった。昨日出発前に確認した予報では、なんと旅の予定の4日間のうち3日間が雨!ただ盛岡では雨も上がってて傘をささずにバスターミナルに行けたので割と運がいい方か!?が、バスの車中でいよいよ本降り・・・暑いよりはいいかな!?と考えを改めることにする(笑)。バスは結構満席で窮屈だったが早くから並んでなんとか窓際を確保。八幡平付近の高原風景が見えるかなぁーなんて期待してたら、なんと雨が上がって青空が見えて来たー!これはチャンス☆と、隣のスーツ姿のにいちゃんの視線を気にしつつも、カーテンを開けてデジカメのシャッターを連打する(笑)。バスの遮光ガラス効果も手伝って濃い緑と青の高原風景が撮れました。


 弘前に着く頃にはしっかり快晴。バスターミナルとイトーヨーカドーがつながっていて、いきなり店内に「AtoZ」グッズ販売コーナーがありました。まぁ、とりあえず街を歩いてみようということで、商店街を歩いていると「AtoZ」観に来た人向けの弘前市内グルメマップなんかが置いてあったり、旗がひらめいていたりして、ホントに街ぐるみで盛り上げているんだなーと感心する。そのマップで気になった「西洋茶寮 Salon de 甚平衛」という百石町展示館(明治時代に建てられた洋風建築)内にあるお店に入ってみる。店員さんも明治チックな着物衣装でお出迎え!モダンな内装といい、まるで地元にある「明治村」に来たような気分になりました(笑)。と、いうわけでハイカラなハヤシライスをいただく。肉が大きく柔らかくて美味しかったです。


念願のAtoZ展を鑑賞

 腹ごしらえしたあとは、いよいよ「AtoZ」の会場へ向かう。途中の商店街の建築物もなかなかの味わい。弘南鉄道の中央弘前駅も川辺にちょこんとあるかわいくてあたたかい感じする駅です。しばし撮影を楽しみながら吉井酒造煉瓦倉庫に到着。この倉庫も大正時代に建てられたという古くて味わいのある建築物で、それだけでも撮影したくなるようなスポットでした。周辺の公園もいい感じ。おっ、サーフィン・ドッグだ!大人も子どももまたがって一生懸命みんな記念撮影してました。

 さて、展覧会との印象として一言で言うならば、良い意味で大きく期待を裏切ってくれた内容も濃くボリュームある内容でしたー!だってアルファベットのAからZまで小屋があるんだもんねー。豊田市美術館で見た「とらやん」にも再会(笑)。奈良美智氏だけでなくヤノベケンジ氏、川内倫子氏の写真展まで、とにかく好きな作家の作品をドーッとgrafの創り出した見事な空間演出の中でまとめて見られちゃうんだからスゴい!これで入場料1000円ってありえなくないですか!?2階にもビビりました・・・。対面した光景に思わず「わぁー」て声が出てしまったよ(笑)。ボランティア・スタッフの方々にはあたたかく声を掛けてくださったりして、大変お世話になりました。
 今回の旅の予定は全くネットとかで公言していなかったのだけど、偶然、同じ愛知に住んでて何年か前に一緒に撮影したりお酒飲んだりしてたTさんがほぼ同じタイミングで青森・北海道方面へ旅してることがMixiで判明。メールを打ってみると今夜には青森に戻ると言ってらっしゃってるではありませんか!列車もほぼ同じ時刻にお互い反対側から青森駅に到着すると言うなんという奇跡的なタイミング!と、言うわけで久々に再会することになりました。しかも青森で(笑)。

 弘前駅までは途中から様々なオブジェも並んでいる歩行者専用道路があって、これがなかなかシュールで面白かったです。ヴィレヴァンの袋ぶら下げた(弘前にもあるんだね!)地元人と思われる女の子二人組が「きっと、あれはりんごがモチーフだ!」「あれは桜だよ!」とかおしゃべりしながら前を歩いてくれたので、観光客の僕としては非常にありがたかったです(笑)。弘前駅には巨大な「AtoZ」垂れ幕が掲げられていて、ホント気合い入ってるなぁー!と改めて感心しました。弘前駅から電車に乗り、かつて青函連絡船があった頃には本州最果ての鉄路の到達点だった青森駅へと向かう。電車の中でも「AtoZ」のお土産袋下げている人の多かったこと!僕みたいに遠くからはるばるやって来てる人もいるわけだから、きっとこの地域の経済効果も結構あるんだろうなぁ〜。

 弘前を出て約45分、18時前には青森駅到着!そして、そのすぐ後にTさんも改札を出てきた。約2年ぶりくらいの再会。僕よりもずっと前からあちこちへとひとり旅をされてるTさん、さすがに旅慣れてる雰囲気が漂っている!(笑)二人でカメラをぶらさげて青森駅周辺を散策。夕暮れの八甲田丸(元・青函連絡船)を撮って旅情あふれる写真を撮りたいなぁーと思ったら、そのすぐ前で廃墟列車を発見!いい具合に荒れていて、撮り方によってはかなり生々しい表現ができそう・・・青函連絡船といい、終着駅にこういうものが置いてあるとソソリますねー!(笑)「青森ベイブリッジ」とは対照的でした。雨の予報は見事に外れて撮影日和が僕の周りでは続いています。いやぁ、もう大満足!キレイな青森港の夕暮れ風景でした。

 その後は青森駅前の郷土料理を食べさせてくれる居酒屋で旅の疲れを癒しながらTさんとお酒を酌み交わす。なんか僕のイメージとして、今回の旅もモデルさんを引き連れてやってきてると思ったので、銭湯でも行ってさっぱりしてから会わないといけないなー、なんて考えてたって、なかなか笑えます(笑)。さすがに18きっぷ旅に付き合ってくれるモデルさんはいませんねー!(笑)って言うか、僕、確かに女性のポートレート写真好きだけど、一人でぶらぶら散歩しながら撮影してる時間の方が断然長いのですよー!実は(入念なロケハンか!?)。そんなことよりTさんの旅話は達人の域に達していてホント面白かったー。いやぁ〜スゴい。と、いうか今回も2日しか休みないのに列車とバスだけで北海道まで行っちゃったというその行動力!!仙台まで鈍行で満足している僕とは世界が違います。22時頃まで飲んでから、夜行バスで東京方面へと帰っていくTさんを見送ってホテルで熟睡。調子乗ってすすんだ地酒がまわったー!!(笑)

 

<3日目>
ローカル線人気No1五能線に乗ろうとしたのだが・・・

 心配された二日酔いにもなることなく、すっきり朝を迎えました。が、目覚めるきっかけとなったは大きな雷の轟音。しかも部屋の窓に大粒の雨が当たっている様子。あぁ〜、ついに雨か・・・と、いきなりテンションが下がりました。それもそのはず、本日の予定は「乗りたい日本の鉄道ローカル線ランキング・第一位」の「五能線」に乗って、日本海の眺望とブナ林が広がる大自然の景観を楽しもうと思っていたからなのです。まぁ、雨でもそれなりに素敵な所だろうーと気を取り直して、早めにホテルを出て青森駅へ向かいました。

 駅に着くと、なんだか慌ただしい雰囲気。な、なんと北海道から津軽地方にかけて早朝に集中豪雨が襲い、津軽海峡線と東北線が運転見合わせとなっていたー!!これから僕が乗る予定の五能線はどうなっているだろう???とりあえず奥羽本線は動いており弘前までは行けそうだったので、予定の列車に乗ってみる。しかし、出発時刻になっても一向に列車は発車しない。遅れている特急列車を待っているとの放送が入り、20分遅れでなんとか発車した。ホッとしたけど、今日は秋田まで行く予定、この先ちゃんとたどり着けるのか心配になってくる。隣に座っていた東京から来たと思われる教員っぽい二人組(会話の様子からわかった)は「青森はこれくらいの雨ぐらいで電車止まるのか!」とブツブツ文句を言っていたのがうるさかったです・・・。
 列車は徐行運転を続けて、途中で安全確認のための打ち合わせ停車とかまであって、さらに40分遅れで弘前に到着。さっそく駅員に五能線の運転状況を聞いてみると、鯵ヶ沢までしか動いていないと言う。う〜ん、それじゃあ絶景の所まで行けない・・・天気は回復傾向にあるみたいで、時折日が射してきているのだけどナ。若い女性駅員はさらにこう付け加えた「五能線、雨降るとすぐ止まっちゃうんですよね。今日中に五能線経由で秋田まで行くのはちょっと無理かと思います。どうも申し訳ございません・・・」とっても親切な駅員さんだったので色々五能線のこと聞いてたら、段々津軽なまりになってきて楽しかったです(笑)。と、言うわけで、潔くあきらめることにする。奥羽本線なら約1時間半後の列車が秋田まで行くと言うので、それに乗ることにしました。で、さっそく待ち時間で弘前の市内観光をすることに!

 駅前の観光案内所で情報を仕入れて、100円市内循環バスで弘前城へ向かいました。もう太陽がしっかり顔を出して、ホントに列車が止まっているとは思えない天気。汗だくになって弘前公園を歩きました。桜の木の葉っぱがあおあおと茂ってて、これが全部ピンクだったらさぞかし綺麗だろう・・・と想像しながら歩いてみる。滞在時間はごくわずか!追手門から入って本丸を望み、東門からすぐ出て帰りのバスに飛び乗りました。駅には列車発車の10分前に到着。さっきの駅員さんが「定刻通り発車で大丈夫ですよ。」と声を掛けてくれる。なんだか東北の人はあったかくていいね!

 11:19弘前発→13:51秋田着というお昼をまたぐダイヤなので、カロリーメイトと菓子を少々買い込んでから列車に乗る。売店のおばさん、レジに来た僕に「いらっしゃいませ〜」と標準語で喋った直後に、納品に来た業者さんに向かって「※◯☆@♪♯※〜!」瞬時に使い分ける切り替えが素晴らしい!!ほんとこの辺りの方言は全然聞き取れない・・・まるで外国に来た気分だ。列車は定刻通り発車し、秋田へ向けて南下して行く。それにしても車窓は山か田んぼかのどっちか。秋田がコメどころということがホントによくわかります。山間部の集落は廃墟率も高くて深刻な過疎化の現実が見えてきて寂しいものがありました。昼過ぎにカロリーメイト出してかじっていたら、周りのお客さんも次々お菓子出して食べ始めたりして、なかなか笑えます。やっぱ、つられますよねー!?(笑)

 このまま秋田へ定刻通り着くかと思ったら、途中で大雨が降ってきて、再び徐行運転となる。いやぁ、ホントに読めない天気だね。弘前での天気の回復ぶりに後ろ髪ひかれる思いだったけど、素直に秋田に早めに向かって良かったー!でも、せっかくの18きっぷなのだから、どこか寄り道してみるのもいいかな・・・と思って、男鹿線に乗ってみることにしました。追分で下りて、駅員に男鹿線の運転状況を聞いてみる。「男鹿線は普通に動いていますかー?」「普通には動いてないねー!大雨でやられたー!帰ってこれるかは天気しだいやねー。」相変わらず楽しい受け答え(笑)。とりあえず止まってはいないようなので、終点の男鹿まで行ってみることにしました。

 この男鹿線も強烈なローカル列車だったナー!まぁまぁ利用客が多くて、つなぎ目の中間の運転席に、なんと高校生が普通に座っていた・・・都会だったらありえないでしょ!?(笑)途中、車内からどよめきがあがるほど、激しい滝の中を走ってるかのような豪雨に襲われる。ま、まずい・・・止まったらどうしよう・・・と不安にさせるほどの雨でした。それでも、まぁなんとか列車は定刻通り走っていて、森の中を通過した時なんかは、木の枝が窓に当たったりしてちょっとビビった。

 終点の男鹿に到着。なんと雨がピタリと止む。少し駅から出て歩いてみると、踏切があったんだけど、故障していて鳴りっぱなし!係員が立っていて歩行者は遮断機もくぐって渡ってもいいとのこと。「雷か何かで壊れたんですかー?」と聞いてみたら「雨で壊れたみたいですー!」と・・・。雨!?踏切壊れるくらいの雨ってどんな雨だったんだろう〜恐ろしい。遮断機下りた踏切内で写真撮影!貴重な体験だったが、どうも落ち着かずブレブレだったー!(笑)
 いつ電車が止まってもおかしくない状況のようなので、すぐに引き返して秋田へ向かう。男鹿線は景色はそれほど強烈ではなかったけれど、列車の古さと駅の雰囲気がすごくローカルっぽくて、遠い所まで来たナー!という気分を盛り上げてくれました。ひょんなハプニングから訪れることになった男鹿。観光客の姿も駅には全くなく、ホントに自分はよそ者だよなぁーって感じる。なかなか緊張した男鹿線の道草でしたね。

 

なんとか秋田に到着

 秋田駅到着。一時はどうなるかと思ったけど、無事に予定通り秋田にやって来て一安心!いやぁ〜良かった良かった。ホッと胸をなでおろす。駅前には百貨店とスーパーがあって、それらを駅から「ぽぽろーど」と呼ばれる1本の広い歩道橋で結んでいて、なんとも真新しく整備された感じでした。少々移動ばかりで疲れたので、少し歩いて見つけた素敵な喫茶店に入ってみる。この店がまた本格的な雰囲気で、内装はもちろんのこと、マスターと見習い!?の会話までどこか文学チックで面白かった。珈琲も絶品!居心地が良かったのでケーキまで頼んでちょっと長居しました。さっきの列車の中でもそうだったけど、店内のお客さんもみんな口々に今朝の雨のものすごかったことを語っている。どうも新幹線も止まっていたらしい。明日じゃなくて良かった・・・。

 雨もすっかり上がって西日が射すくらいにまで天候が回復していたので、ホテルまでの道のりをちょっと大回りして、千秋公園を散策してみることに。街中にぽっかり緑の丘があって、上まで登ったら見事な眺望が開けました。坂なんか登ってら汗だくになったので、公園入り口にあった図書館でしばし涼む。列車ダイヤはとんでもないことになっていたけど、個人的には天気に恵まれているような・・・!?結局、傘を射したのは今朝のホテルから青森駅までの間だけ。しかも、ほとんどアーケードだったので、交差点渡る時ぐらいのもんだった。ゆっくり歩いて日没とともにチェックイン。夜は「無限堂」という店で秋田名物の「稲庭うどん」と天ぷらを味わいました。なんだかんだ言って今回の旅は色も充実してるナー。ほぼ毎晩、飲んでるし(笑)。

 

<4日目>
旅の最終日も東京で途中下車して芸術鑑賞

 いよいよ今日で旅も終わり!秋田駅までゆっくり歩いたけど、うだるような暑さでいきなり汗だくになる。こんなに気温が上がるなんて日本海側ならではのフェーン現象かなぁ。せっかくなので名物駅弁「比内地鶏の釜飯」を買う。9時15分発車の秋田新幹線こまち号、東京に着くのは13時半過ぎと、かなり道のりは長い!!新幹線といっても盛岡までは在来線の田沢湖線を使っているので、それほどスピードは出ない。それどころか単線なので時々、すれ違いのための待ち合わせ停車があるくらいだ(笑)。景観はさすが田沢湖線。新幹線の車窓風景とは思えないような、滝やら渓谷やら大自然の連続で気が抜けません。盛岡からは東北新幹線「はやて号」とドッキングして東京へ向かうという、ホント面白い新幹線です。仙台までは隣の席も空席でかなりゆったりしてました。

 これだけ列車を乗り継いできた旅だったけど、駅弁を車内でいただくのはこのお昼が初めて!仙台過ぎてじっくり食事を楽しみ、食後にはシート倒してゆっくり昼寝して、目覚めた頃には東京に着くという、なんて楽チンな新幹線の旅。やっぱ値段高いだけのことはあるよねぇ〜。あっと言う間に東京にやってきました。これだけ遠くへ行ってきた後だと東京に来ただけでも帰ってきた気がしてしまう。このまますぐ東海道新幹線乗り換えて帰ってしまうのも寂しいので、品川の原美術館に立ち寄りました。

 品川駅から原美術館までは約500mちょっとあるんだけど、ほとんど日陰になって思ったほど暑くなかった〜。今日の場合は秋田よりも東京の方が涼しいみたいです。原美術館で現在開催されているのは「ヨロヨロン」束芋 展で、日本家屋や銭湯、通勤電車など典型的な日本の日常風景をモチーフに、少年犯罪や自殺、閉塞感など日本社会の暗部をクールに描き出すアニメーション作品が主体です。「真夜中の海」だったっけかなぁ・・・入り口入ってすぐのやつ、冷風が覗き穴から吹き上げていて、とても涼めましたー!これは真夏の期間中の開催ということでアイデアですねー(笑)。暗い雰囲気の作品が多いのだけど、どこか滑稽にあっさり描かれているところが彼女の作品の魅力です。じっくり鑑賞した後は、美術館内にあるカフェで休憩。ちょっと疲れているせいかケーキまで頼んで、まったりしました・・・。

 品川から今度は東海道新幹線に乗っていよいよ帰宅の途につく。車内は小さな子どもを連れた家族連ればかりで賑やか!あぁ〜盆休みだなぁ〜と改めて思う。今回の旅、初の東北地方ということで、目に入ってくる光景がみんな新鮮でした。鈍行で極貧旅気分を味わったかと思えば地酒に郷土料理などリッチに食事したり、かなりメリハリのある内容でしたねぇ〜。「AtoZ」展は想像以上だったし、地元の同じ趣味の方との偶然の再会など、ホント充実した3泊4日の行程でした。旅で出会った人、物、出来事に全て感謝。実は一人で行動するのって、これだけ色々経験しても慣れないものなんです。特にお店とかホテルにチェックインする時なんか、結構緊張してる(笑)。だけど、目に入ってくる光景や、美味しいものをいただいた瞬間の頬のゆるみとか、そんな些細なことに癒されるのです。

 最後に駅から家まで数キロを歩く。思えばこの旅は、バスに乗り遅れて焦って歩いたこの道から始まったんだよね(笑)。どんなに充実した旅でも家に帰るとホッとする。旅好きな僕ですが帰りたくなくなるなんてことは、今まで一度も経験したことありません。むしろ帰りたくなるから旅に出るのです。と、言うわけで、最後まで読んでくれた皆様、本当にどうもありがとうございました。